大空間の快適環境1

水はわれわれの生活に不可欠です。水といえば飲料用というイメージが強いのですが、空気の中にも多くの水が含まれています。水は、状況によってあらゆる姿に変化します。氷・水・水蒸気。固体から液体(融解)液体から気体(蒸発)と形態を変えるたびに大きく熱が移動します。この特性をうまく利用することを考えました。

 

太陽の利用 自然光の積極的利用

   

金沢21世紀美術館

建築設計 妹島和世・西沢立衛
所 在 地 石川県金沢市広坂
規  模 地上2階、地下2階
延床面積 17,363.71(Museum)
用  途 美術館
開  館 2004年10月9日

 

太陽からの自然光は、時間や季節によって大きく変化します。夏の青空と冬の曇った空、自然光は規則的に再現されることもなくさまざまです。そんな自然光の変化を展示空間の中で感じ、作品をとりまく環境が変化する展示室にしたい。それが金沢21世紀美術館の基本的な考え方でした。ただ、自然光を取り入れるといっても、自然が相手のこと。特に、黄砂が舞い、冬には雪も積もる金沢の地域性を考えれば、全面トップライトが最適な方法とはいえませんし、空調エネルギーのロスも大きくなるだけです。自然光の取り入れとエネルギーロスという相反する2つの要素を満たす採光方法を検証するため、模型による採光率データ収集と、気象データをもとにした自然採光シミュレーションを行い、エンジニアリングによるトップライトサイズの検証などを行いました。

自然光の積極的な利用と人工光の抑制

自然採光による変化を展示室に積極的に取り入れる一方で、冬期の曇天日や日没により展示に必要な照度レベルを下回る場合は、人工照明を併用して照度を維持する必要があります。そこで、展示室単位でセンサーを配置し、設定照度を下回る場合には、人工照明で調光制御して自動的に設定照度を維持するシステムを構築しました。 人工照明の光源は、自然光との調和をポイントに一般の昼光色蛍光灯を採用しました。また、消費エネルギーを抑制するため、従来美術館の標準とされていた美術館博物館ランプ(出力2,450lm)から、より高出力な三波長域発光Hf蛍光灯ランプ(出力4,950lm)に紫外線制御チューブ(繰返し使用が可能)を被せた仕様とし、消費電力を従来方式と比較して約50%抑えています。

 

大空間の快適環境

   

北方生涯学習センター きらり

建築設計 磯崎アトリエ
構  造 RC造、一部SRC造
規  模 地下1階、地上2階
建築面積 1,668.55㎡
延床面積 4,494.91㎡
用  途 生涯学習センター

 

ホール空調
★ 吹出し、吸込み位置の切換
冷房時は舞台上部から冷風を吹出し客席部から吸込み、暖房時は客席部から温風を吹出し、舞台上部から吸込む。温度差による自然対流に逆らわないことで、居住域での温度ムラを解消しました。冷房時は冷気、暖房時には暖気を効率の良い循環を行い、また床吹出しによる冷房時のコールドドラフト感も抑制しています。
★ 高湿化の防止
顕熱比低下時の高湿化防止対策として、空調機コイルバイパス制御を導入しました。客席が設定湿度以上となった場合には、三方弁を全開して過冷却したコイル通過空気とコイルをバイパスした室内空気を混合して吹出すことによって、更なる高湿化が進まないように配慮されています。

  

駅舎の輻射冷房

駅舎は、列車走行発熱・列車冷房排熱・列車風といった特殊な熱負荷が存在する空間です。その特殊空間において、省エネルギー性・快適な環境性能・建築との融合を目的に自然換気+放射冷房方式による空調システムを計画しています。