大空間の快適環境2

水はわれわれの生活に不可欠です。水といえば飲料用というイメージが強いのですが、空気の中にも多くの水が含まれています。水は、状況によってあらゆる姿に変化します。氷・水・水蒸気。固体から液体(融解)液体から気体(蒸発)と形態を変えるたびに大きく熱が移動します。この特性をうまく利用することを考えました。

 

雪の利用 雪による冷房システム

   

モエレ沼公園ガラスのピラミッド

建築設計 アーキテクトファイブ
構  造 Structure: S+RC
規  模 地上4階、塔屋1階
建築面積 3,864㎡
延床面積 5,322㎡
用  途 ギャラリー、レストラン、管理事務所
貯 雪 庫 面積 693㎡ 高さ 6m

 

冬に降った雪を夏まで蓄えておいて、冷熱源として冷房に利用できれば効率的だろうと考えたことはありませんか。こんなアイデアを実現させたプロジェクトがあります。
システムは簡単です。「雪室(ゆきむろ)」と呼ばれる一種の雪の倉庫に雪を蓄え、夏まで解けないように保存します。夏になったら、この蓄えた雪を利用して建物の空調を行うというわけです。
大量の氷を天からもらったと考えれば、簡単にイメージできるのではないでしょうか。

 

雪冷房システムの概要

 

1. 貯雪庫
貯雪量はアトリウムの夏期2ヶ月の冷房負荷を想定。(計画貯雪量3,180・)貯雪庫は建物北側の法面部分に埋設されほとんどの部分が芝生に覆われており、施設の景観上及び断熱の面からも有利な配置計画となっています。

2. 融解水間接利用 + 水蓄熱槽方式
融解水を貯雪庫下部ピットに設けた水槽に貯留し、プレ-ト型熱交換器(386kw)を介して間接的に冷熱を取り出し、二次側空調機器に冷水を供給。安定した冷水供給温度の確保と、必要以上の雪の融解を抑える水蓄熱槽の特徴を生かした計画としました。融解水槽の温度が設定温度以下の場合は、融解水槽の保有する冷蓄熱のみを利用するよう一次側融解水還水を貯雪庫雪蓄熱側には散水させず融解水槽の高温側へ戻し、融解水槽の温度が高くなり設定値を超えると二方弁を切替えて還水を貯雪庫雪蓄熱側に散布し、雪と直接接触させて冷却する制御を行っています。

3. 融解水滞水層方式の採用
散布された還水と雪塊が接触しないバイパス現象回避の為、あふれ堰を設けて貯雪庫床全面に融解水を貯留し、雪塊の下部25cm程度を常に水没させて砂利など異物の槽内流入防止に配慮するとともに安定かつ均等な雪の融解を図りシステム性能を向上させました。この方式はまだこの当時に実例がない画期的なものであり融解水滞水層方式と称しています。

4. 運用実績
2004年の実績では1,735tの雪を貯蔵、雪の利用総冷熱量は478GJで、貯雪量の76%を有効に利用できました。また残雪量が約5%程度となっても融解水供給温度は平均して8℃前後を維持しており、ガス焚き冷温水機と同等の性能を発揮しています。雪の利用総熱量478GJは368KWの冷凍機が360時間フルロ-ドで運転したことに相当し、雪冷房による冷凍機代替によってCO2排出量も削減されています。