沿革

創立の背景・経緯

衛生設備施工会社の技術者であった森村武雄は、技術調査研究の目的で戦後間もない1953年に渡米し、独立・中立の立場で建築設計を行うコンサルタント・エンジニアの重要性と、日本の生活様式に合った給排水衛生設備の技術基準(NPC: National Plumbing Code)の必要性を痛感しました。
その後森村武雄は、1963年に第1回空気調和・衛生工学会賞を受賞するなど、主に給排水衛生設備分野での研究や実務で研鑽を重ね、1965年、米国で見たコンサルタント・エンジニアの職能を日本でも確立すべく、10余名の仲間と共に「株式会社 森村協同設計事務所」を設立し、設備設計を専業とする独立・中立の技術者集団として歩み始めました。同時に業界の技術向上と発展にも注力し、空気調和・衛生工学会 給排水設備基準委員会の初代委員長となり、日本のNPCとして1976年に給排水衛生基準をまとめ上げました。この基準は建設省告示にも反映され、現在のSHASE-S206「給排水衛生設備規準・同解説」に至っています。
また、FIDIC※1やASHRAE ※2 、ACE ※3など国際的な協会のメンバーになり、海外との技術交流を図り、FIDICでは日本人として初めての理事に就任し活躍しました。

※1 FIDIC:The International Federation of Consulting Engineersの略
※2 ASHRAE:The American Society of Heating, Refrigerating and Air-Conditioning Engineersの略
※3 ACE:The Association for Consultancy and Engineeringの略

創立10周年(左から3人目が創立者)
第1回空気調和・衛生工学会賞 記念品
創立当時の執務の様子

社名(略称)の由来

森村設計

創立時は、森村武雄とその仲間達との意味を込め「株式会社 森村協同設計事務所」と称していましたが、その“協同”という名称からスポンサー企業の資本が入っているのではといった中立性に疑念を抱かれることがあったため、1990年、「株式会社 森村設計」と短く改めました。創立時から不変の英語名称“P. T. Morimura & Associates, LTD ”のP.T.は、創立者 森村武雄のクリスチャンネーム ペトロ(Peter:英語読みではピーター)と、名前Takeo のイニシャルに由来します。

業務内容の変遷と歩み

設備設計事務所として歩みを始めた当初は、空気調和・衛生工学会での給排水衛生基準策定への貢献に加え、ホテルオークラ別館やDusit Thani Bangkokなど国内外の大型高級ホテルの設計を通して、「給排水の森村」としての確かな地場を築きました。その後、海外での事業展開の経験を活かして日・英バイリンガルサービス体制を整え、東京国際フォーラム(ラファエル・ヴィニオリ)など、海外有名建築家との共同案件や外資系クライアントのデータセンターなどにも業域を拡大させてきました。
また1986年には、設備改修のワンストップサービスに向けて設備改修に伴う建築業務を行う建築部門を新設し、環境性を重視した省エネリニューアルにも注力しています。更に近年では2015年にコア・テクノロジーセンターを新設し、設備設計の枠を超えて調査診断・シミレーション・データ分析などの各種コンサルティングも行っています。